本研究では、死者を病院から送り出す最後の場所として、霊安室を取り上げる。遺体を安置する霊安室・緩和ケア病棟における看取り・病室から退院までを結ぶ動線に注目し、看取り後の空間を 分析する。霊安室から退院までの過程を観察することで、霊安室及び病室から霊安室までの動線の利用実態を把握する。一般病棟の方が、作業の効率性、患者の回転率の良さ、病院経営をより考えなくてはならない状況である為、「死」に対して意識した空間設計がなされていないのではないだろうか。一方、緩和ケア病棟は、対象が余命の宣告を受けた終末期の患者であり、入院期間も長い為、より生活環境に近い空間設計がなされている事例 が多く、両者の看取り方や死を迎える場所としての態度には違いがあるのではないかと考え、調査を行った。