本来建築家はまず、柱、壁、床などから建築空間を創造し、内容物に当たる家具、建具といった造作を選択あるいは自ら設計することで空間の充実を図る。C.Scarpa の設計は全作品のうち約41%が改修計画であり、加えて約40%が展示計画と既存という既に立ち上がる空間が所与として存在していた。ゆえに、彼のデザインはその内容物に当たるものの設計が中心で、設計物全てが家具であるかの様に捉えることができないだろうか。本研究はC.Scarpa の設計する家具の持つ可能性を示唆するものであり、家具がいかにして空間に影響を及ぼしうるかを解明することを目的としている。