3月1日大隈講堂にて、
優秀卒業計画・修士計画の公開講評会が行われました。
古谷研からは、卒業計画6点、修士計画6点が選出されました。
その設計作品について報告させていただきます。
エントランスには、所狭しと大きな模型が並んでいます。
発表直前、M0はプレゼンの最終調整で真剣。。。話しかけられませんね。
そして、M2はというと、、、余裕。。。なわけありません!
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【卒業計画】
卒計は、全11作品を「風景」と「流動」のテーマに分け、講評を行いました。
講評の内容については、簡潔に書かせていただきます。
≪ theme session「風景」≫
水技の湖洞
高田一正
方舟 ―重なり合う水際の共同体
北川萌奈美
都市の舞台装置
中村絵理子
あるマチの食卓
高橋まり
講評
風景のセッションでは都市のなおざりにされた場所が多く取り上げられました。
高田は不可視となっている地下インフラに注目し、その図面表現等が力強く、インパクトを残しました。北川は実際の設計の場面でも提案出来るとコメントをいただいていました。中村は計画では捉えきれない都市の変化を建築に取り込んだ点を、高橋は3.11をきっかけに”食”さえも不安視される現代に対する提案であることを取り上げていただきました。(M0 中村)
≪ theme session「流動」≫
海の豊穣−島を巡る小さな共同体−
瀬島蒼
育む生産の圃
内田久美子
講評
(編集中…)(M0内田)
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【修士計画】
修計は、全12作品を「都市」「生活」「空間原理」の3つのテーマに分け、講評を行いました。
≪ theme session「都市」≫
紡ぐ ―個の集積による都市像
冨永識
都市のアトポス−移動情報ビックデータを用いた場所なき空間への転回−
猪又直己
ビックデータのプロジェクションマッピング
[MOVIE1][MOVIE2]
講評
都市のセッションでは、古谷さんより、トポス〈場所性〉についての問題が全員に共通していると指摘されました。
かつて、時間と空間が一致しているという状況が、いま、拡散し、ばらばらになりうるということに対して全員が問題提起していて、
冨永は、共有されなくなる築地市場という場所の痕跡をいかに残し、継承するかというきっかけをかつての鉄道引込線の曲線に求めてデザインしている点が評価できて、
一方、猪又は、図として顕在化する場所ではない、無数のグラウンドの中に人がソーシャルメディアによって集まりうる可能性を示し、新しいトポスとして提示していた点が面白かった、
というコメントをいただきました。(M2猪又)
≪ theme session「生活」≫
節目につなぐ郷−集落における里地里山をめぐる婚礼とその建築−
齊藤彰吾
講評
生活のセッション全体では、それぞれの計画に対する学生達の立場の違いがそれぞれの計画に反映しているとの指摘を頂いた。その中で齊藤に関しては、よそ者という立場からこれまで関わってきた民谷を見直し、その主ではない季節としての農閑期に新たな価値を与えようとしている点に評価を頂いた。しかしその一方で建築が婚礼という一回的なもののために作られすぎている点やこの村の外に居住している人が訪れて婚礼を挙げる困難さなど提案の現実性の担保に関して批判的な指摘もあった。今後この計画を集落に持っていく事やプロジェクトの蓄積として残していくために色々と考えさせられた良い機会となりました。(M2齊藤)
≪ theme session「空間原理」≫
関係の森−modulor(身体)とproxemics(距離)の融合による空間への能動的関与−
津川恵理
母性に包む−触視設計手法研究−
福岡あかり
「ノアの方舟」:銀座のブランド街から緑の世界を創る
ジェイソン・フェアバンクス
講評
(編集中…)(M2津川)
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【パネルディスカッション】
今回より、各先生からの総評ではなく、
各系の先生の代表がディスカッションするという形式をとりました。
活発な議論となりましたが、すべて書くわけにもいかないので、
抜粋して、かなりまとめて書かせていただきます。
詳しく知りたい方は、毎年出版されている早稲田建築学報をご覧になってください。(M2猪又)
早稲田の卒業設計は、意匠x構造x環境など、系を超えた3人グループで取り組みます。
年々、作品のクオリティとしても、協働の体制としてもレベルが高くなっている、ということでしたが、
一方で、3人の共有可能な社会問題、外からの問題提起によって、建築をつくることが多くなってきたため、
昔のように、意匠が前へ出て突拍子もない作品をつくるといったことがなく、
ある意味似たような作品が出てきてしまっているのではないかという指摘がありました。
3人の協働ということで、最近では計画系がチームを引っ張るだけでなく、
構造や環境系の学生がかなり引っ張っている場面も見受けられたそうで、
とても良いということでしたが、果たして良いのか悪いのかどうでしょうという意見も。
一方修士設計では、中川先生が、修士設計には思想が問われる、と強くおっしゃっていました。
技術や表現は後からついてくるのだから早稲田建築は思想をもたねばならないと。
そして、入江先生からは、建築のデザインが本来的にできることは何だろう、
ということが、これから問われる時代なのだと指摘されました。
近代建築が駆逐してきたものを、これからテーマ性をもって行うべきであって、
それが、自身の側から、こちら側から発見していかなければならない、
と、強いメッセージをいただきました。
この審査会の結果、
卒業計画では、高田が金賞、北川が銀賞をいただくことができました!
古谷研大健闘です!
修士計画では、残念ながら今年は、早稲田建築設計賞をいただくことが叶いませんでした。
来年に期待しますっ!!!
以上、報告でした。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
編集 M2 猪又直己
撮影 助手 根本友樹