【奈良PJ】 奈良県吉野町 島田蔵 内装改修プロジェクト① (内装計画説明編)

By flab, 2020年4月17日

こんにちは。修士2年の木村一暁です。

奈良県奈良の木ブランド課と建築学科古谷誠章研究室では2010年以来、継続して奈良県吉野材(杉・檜)の活用を目指した継続研究・デザイン提案を行っています。

2020年春、奈良県吉野町上市地区に建つ元酒蔵だった空き蔵が、地元の方や訪れる人が気軽に立ち寄り活用できる多目的な居場所、その名も「笑屋」として生まれ変わりました。古谷研究室では、今年度そのコミュニティ施設「笑屋」の奈良県産材を用いた内装デザイン提案・セルフビルドによる施工を行いました。

本記事では、完成した「笑屋」の内装デザインについてご紹介します!この改修プロジェクトの経緯やデザイン提案が完成するまでの道のり、そしてセルフビルドによる施工の様子についてのメイキングストーリー編は、こちらの記事をご覧下さい。

「笑屋」は、地元住民の方々との3回のワークショップをもとにデザインを考えました。この 「笑屋」 という名前には、笑、商、招、Show・・・といった様々な”しょう”を実現できる場所という意味が込められています。そのため、住民の方々の多岐にわたる使用用途にフレキシブルに対応し、かつ地域住民や訪れる人の居場所となることが求められました。そこで、コンパクトな面積の酒蔵でフレキシブルな空間を実現するため、吉野の地酒などを置くことのできる棚と、皆で座れるベンチを酒蔵の2辺の壁際に寄せた構成としました。

入り口を入って正面に見えるスギでできた棚。中心のスペースを広く残し、フレキシブルに使うことができます。
入り口を入って右手に配置された、ヒノキでできたベンチ。

棚とベンチのデザインは、昨年度のKITTEイベント時に使用した105角や120角の構造材で構成されたフレームを再利用することで、天井の高い酒蔵において、入り口を入るとすぐに吉野材の存在感を感じることのできる空間を作り出しました。また、そのフレームを取り巻くように、製材所で桟積みされた角材や、吉野の遠景の山々といった吉野の風景をモチーフにベンチや棚をデザインすることで、地域の方々に愛着を持ってもらえるような空間を意識しました。

製材所で桟積みされた角材をモチーフにした棚とベンチ。
吉野の遠景の山々をイメージした棚。
ベンチの座面はヒノキ、スギ、ヒノキと交互に並べられています。

吉野材の肌触りや香りを体感できる心地よい空間とすることもテーマとなっています。そこで壁際にヒノキのルーバーを取り付けることで、ベンチの背もたれとしても機能し、部屋全体に吉野材の香りが広がる心地よい空間となりました。

節が少なく、木目の美しい面を見せています。
ベンチの背もたれとしても機能するヒノキのルーバー

この蔵では、一休みをする、集まってお酒を飲む、地域で活動するバンドの練習場所として使う、オリンピックなどスポーツ観戦のパブリックビューイングとして使う、地元でお店を開きたい方のためのチャレンジショップとして使う・・・など、様々な用途で使うことができます。この蔵のデザインが出来上がるまでのプロセスや、セルフビルドの様子に関する記事もあるので、ぜひそちらもご覧下さい!

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