こんにちは。木質研究会リーダーの本村です。この記事では木質研究会に関して紹介したいと思います。
日本では2010 年に「公共建築物等木材利用促進法」が制定されるなど、CO2 削減や木材自給率向上の観点から国産木材利用の促進が図られている社会背景があります。木質究会はそれに先駆け2007 年度に発足し、木材を用いた建築空間・構造の可能性を広げることを目指し活動してきました。様々なモデルタイプ研究を行うとともに、プロポーザル等によって新しい木造・木質建築提案を実社会へと展開する事を目的として活動しています。
早稲田大学古谷研究室・東京大学稲山研究室・建築家 山崎泰孝氏との共同研究であり、現代の木質建築のあり方を考えるべく、研究会をベースに活動をしています。木質建築の持つ温もりを活かし、流通材や地元の大工技術等で可能な構造を用いて、木造での設計が難しかった大規模建築やビルディングタイプにも木材を有効活用することを活動理念としています。研究の成果を生かし実現した例として鹿北小学校が挙げられます。
研究会発足以降、一般流通材を用いた木造学校のプロトタイプや、劇場の木質改修提案等に取り組みむ、またオフィス、駅舎、宿泊施設など様々なビルディングタイプにおける木材利用の可能性を探っています。
木研究会では研究の実現のため様々なプロポーザルに参加してきました。「山鹿市立鹿北小学校」では、木の温もりを感じられる開放的な学校空間を、木造・RC 造それぞれの強みを活かした新しい構造で実現しました。分棟化した木造校舎を防火壁となるRC 造のコアを介して連続させ、木造部分に筋かい等のない梁と柱のみの空間を可能とています。「新山口駅前広場整備設計プロポーザル」では地場産木によるウェーブ状の屋根と交差するRC造の構造体を用いた提案を行いました。
「芦屋市民センター ルナ・ホール」の木質改修提案ではル・コルビュジエのモデュロール寸法に基づき不燃木のルーバーを劇場内の壁面に配置することで木造劇場の音響特性を与え、木に包まれた劇場となる設計をまとめ芦屋市長への提言を行い、現在も提案を更新しています。
2015年度、東大の稲山研究室と行った合同で行った、稲山研・古谷研の木をめぐる研究の展覧会、「木を知り・木を使い・木を活かす展Vol2」展の様子です。
古谷先生と稲山先生によるトークショウも行いました。
【現在の活動】
現在は木質・木造の耐震改修について研究しています。現状をスケールと更新性(文化財などはあまり変更してはいけない。他の建築では変更してもいい、許容範囲が広い。)の2軸で整理し、抜けいている部分を考えていく(開発していく)ことを目標に活動しています。今後そのようなプロポーザルに応募するなど、積極的に活動していこうと考えています!
修士1年 本村友力