こんにちは。修士2年の木村一暁です。
奈良県奈良の木ブランド課と建築学科古谷誠章研究室では2010年以来、継続して奈良県吉野材(杉・檜)の活用を目指した継続研究・デザイン提案を行っています。
2020年春、奈良県吉野町上市地区に建つ元酒蔵だった空き家が、地元の方や訪れる人が気軽に立ち寄り活用できる多目的な居場所、その名も「笑屋」として生まれ変わりました。
古谷研究室では、前の記事でもご紹介した通り、今年度そのコミュニティ施設「笑屋」の奈良県産材を用いた内装デザイン提案・セルフビルドによる施工を行いました。
本記事では、メイキングストーリー編として、この改修プロジェクトの経緯やデザイン提案が完成するまでの道のり、そしてセルフビルドによる施工の様子をご紹介します!実際にどんなものをつくったのかについては、こちらの記事をご覧下さい。
吉野杉・檜の森や吉野川の美しい風景に囲まれた奈良県吉野町上市地区。その地域に二年前、上市笑転会という地域コミュニティが立ち上がりました。地域活性化をはかる上市笑転会は、地域の方が喜ぶような場所を作ることを考えていました。そこで、奈良県産材の活用を考える奈良県奈良の木ブランド課、古谷研究室とともに、そうした場所を作ることになりました。
デザイン提案を考えるに当たり、計3回にわたる吉野町の住民の方とのワークショップを行いました。そこでは、吉野町の魅力やこの蔵でやりたいこと、こんなデザインにしたい、などについてざっくばらんにアイデアを出し合いました。
住民の方は、ここで一休みをする、集まってお酒を飲む、地域で活動するバンドの練習場所として使う、オリンピックなどのスポーツ観戦のパブリックビューイングとして使う、地元でお店を開きたい方のためのチャレンジショップとして使う・・・など、使い方に関する意見は多岐にわたりました。そこで、デザイン提案では「様々な用途にフレキシブルに対応できる空間」が大きなテーマとなりました。
また、ワークショップの中で、住民の方はこの蔵から見える吉野側や山々の景色などの吉野の風景を大切にしていることも感じました。
もちろん、材料である吉野材の魅力を活かすことも考えながら、デザイン提案をまとめていきました。
デザイン提案がある程度まとまった後は、工務店の方にアドバイスを頂きながら、詳細な図面の作成や実際の施工方法や施工期間についての調整を進めました。そして、2020年3月3日~7日の5日間で、研究室のメンバー9名でのセルフビルドにより施工しました。
5日間の工程で、途中部材が足りないなどの紆余曲折もありましたが、無事竣工させることができました!
セルフビルドでの作業をするにあたり、南工務店の皆様には下準備をしていただいた上に工場や道具を貸していただき、さらには手順や道具の使い方に関するアドバイスまで大変お世話になりました。ありがとうございました。
5日間を通して、奈良の木ブランド課の皆様や上市笑転会はじめ吉野町の皆様には作業の様子を見に来て差し入れもしていただき、大変力になりました。ありがとうございました。
最終日には地元の方や、吉野町長の中井様まで応援に駆けつけてくださり、竣工を皆で喜んだ時は、忘れられない瞬間でした。一年間この改修プロジェクトに参加させて頂けて本当に良かったと感じました!