こんにちは、宿毛プロジェクトリーダーの池田です。
この記事では本プロジェクトの簡単な紹介をさせていただきます。
今回は宿毛市の歴史や早稲田大学との関わり・現地調査での現状や、全3回に渡って行われたワークショップについて紹介します。
2016年冬から始まったこのプロジェクトは、高知県宿毛市の歴史的建造物である林邸を「志国高知 幕末維新博」に向けて改修を行なった実施プロジェクトです。
宿毛市には早稲田大学との深い関わりがあり、「早稲田大学建学の母」と呼ばれる小野梓や、早稲田理工学部を設置した竹内明太郎は宿毛市出身です。早稲田大学建学からの縁で、2001年には早稲田大学奥島孝康前総長(第14代)が宿毛市を訪れ、講演を行うなどの交流を進めてきました。
宿毛市の偉人たちは以下(宿毛市HP)から詳しくご覧になれます。
その宿毛市から、林邸の改修・活用を依頼され本プロジェクトはスタートしました。林邸は政治家林有造の邸宅として明治22年に建築され、近代日本で初めて3代続けて大臣を輩出、隆盛だった自由民権運動の系譜を物語る建物として宿毛市民に親しまれていました。しかし、築後130年以上が経過し老朽化が著しい状況にあり、単純に文化財的な保存をするだけでは不十分な状況でした。
そこで、建物の歴史的価値を尊重した改修を行いながらも、本市の観光拠点・市民の交流拠点として日々活用できるような再生計画の研究・実現を進めました。
ここで、改修前の林邸の様子をご紹介します。
玄関には唐破風の立派な意匠が施されていましたが、瓦が崩れ落ち緊急の修繕が必要な状況でした。また、北部・西部の平屋建て部分は特に雨漏りが激しく、一部天井が崩落しかかっているほか、床も腐食が進んでいました。
林邸ではかつては大きな茶会なども定期的に開催していたそうですが、老朽化が進んだあとはそうした活用も行えずにいたそうです。
改修にあたり、周辺との連携が必要と考えエコミュージアムのコアとしての林邸の活用方法を提示しました。
具体的な改修案の作成に先立ち、その実現性を高めるため文化的な保存改修と現代的な活用改修のエリアを設定し、3案の改修案を作成しました。
また、今回の宿毛市林邸の改修にあたり既存木造部分の耐震補強が必要と考えられることから、東大・稲山教授に協力を依頼し、合同で耐震補強の方針を模索しました。
林邸改修後の市民による積極的な利活用の促進や、林邸を含む市内の史跡・施設・文化などの観光利用の検討を目的に、全3回に渡って、市民の方を対象とした「林邸活用による観光まちづくりワークショップ」を開催しました。
2017年5月27日 第1回 林邸活用による観光まちづくりワークショップ
2017年10月31日 第2回 林邸の使いこなし方について考えよう
2018年3月13日 第3回 宿毛における林邸について考えよう
いずれのワークショップも、古谷研究室と市民で協働したグループワークを行い、互いに意見交換を行いました。そうして得られた市民の方からのご意見を、随時設計案に取り込みながら林邸の在り方を模索しました。
そうして得られた意見を参考に学生たちで設計提案を行い、林邸改修計画を進めました。大変短い工期の中でしたが、東大・稲山研究室や工務店と協力して、改修中にも案を練り直し、作業が進められていきました。また工事中には内覧会も催され、宿毛内外から関心をお持ちの多くの方々に林邸の生まれ変わっていく姿を見学していただくこともできました。
次回は具体的な改修内容を紹介します。
【PJ紹介】林邸の改修計画について
修士1年 池田理哲